呼吸トレーニングと喘息について
喘息があるけれどボイトレを受けられますかとご質問を頂くことがよくあります。
主治医の指示のもとご受講いただくことを前提で、呼吸のトレーニングを推奨される場合はしっかりとボイストレーニングをしていただいています。
私の経験上、喘息の方のボイトレは自信を持っておすすめしたいです。ぜひ一緒にトレーニングしましょう。
過去の生徒さんでボイトレの呼吸トレーニングをするようになってから喘息の症状が軽減した方は確かにいらっしゃいます。
ここで私の経験談と、当教室で行っている呼吸のトレーニングについてご紹介しましょう。
まずは胸式呼吸から
ボイストレーニングといえば腹式呼吸と思われる方が多いですが、当教室のトレーニングではまず胸式呼吸をしっかりと行っていきます。
特に年齢を重ねると、姿勢のゆがみや筋力の衰え、運動習慣の減少などで胸郭(肋骨等)の関節の動きが少なくなり、柔軟性が失われ呼吸が浅くなってきます。
お仕事などで精密な部品を扱ったり、細かい手作業をされる方は呼吸の浅さを自覚されている場合が多いですね。
一方喘息の方も気道が狭くなって呼吸が浅くなりがちで、浅い胸式呼吸を繰り返す傾向があるようです。
実は、肺には筋肉が無く、自力で動くことはできないのです。
じゃあどうやって肺は空気を取り込んでいるの?と思いますよね。
肺は胸郭、それに横隔膜の収縮によって動いているのです。
胸郭の動きでする呼吸=胸式呼吸
横隔膜の動きでする呼吸=腹式呼吸
歌を歌うためには腹式呼吸を使い、吸い込んだ空気を支え、コントロールする必要があります。
腹式呼吸はとても重要ですが、それ以前に空気が実際入るのは「肺」ですので、胸郭の可動域を増やすトレーニングは必須なのです。
・胸郭をしっかりと開いて肺の動きをよくすること
・吸い込みの原動力となる腹式呼吸を使った呼吸法を身に着けること
胸式呼吸、腹式呼吸でのトレーニングは歌唱力の向上にも、たくさんの空気を体に取り込み健康を促進するためにも大変有効であることを実感しています。
これが当教室でラジオ体操を推奨している理由でもあります。
やってみましょう「肺満タン体操」
呼吸トレーニングではまず第一に肺に満タンの息を入れることに挑戦します。
ここでは「胸式呼吸」を意識して行います。
さぁ、一緒にやってみましょう。
①体の前で手のひらを組んで鼻からゆっくり息を吸いながら手を挙げていきます。
②肺を取り囲む胸郭が広がる感覚、肩甲骨が両側に開く感覚を感じながら肺に空気が満タンに入るまで吸い込みます。
③肺が空気で満タンになったら手を挙げたまま3秒息を止めます。
④口からスーッと細く長い息を吐きながら両手をゆっくり下ろします。
⑤ゆっくり吐き続けます。両手が腿に触れるまで下ろし終わるタイミングで息を吐き切るようにします。
この体操は「胸郭を動かして肺を空気で満タンにする」ということが一番の目的です。毎日継続して行っていきましょう。
呼吸トレーニングで歌唱力向上と健康維持を目指しましょう
胸式呼吸とともに、腹式呼吸のトレーニングもあわせて行うことにより、体により豊かな酸素を取り込むことができるようになります。
力強い歌を歌うにはたくさんのエネルギーが必要です。肺に蓄える「息」は歌にとって重要なエネルギーです。たっぷりと息を吸い込み力強い歌を歌いましょう。
また、1日1回は息の上がる運動をぜひ生活に取り入れましょう。
呼吸トレーニングが歌唱力向上の土台となり、更に皆様の健康維持に大きく寄与していくことを願っています。
腹式呼吸については別記事にて詳しくお伝えします。
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